2014/06/26

吉行淳之介娼婦小説集成

『吉行淳之介娼婦小説集成』(中公文庫)の解説を書きました。

「原色の街」(第一稿)や「追悼の辞」、赤線の回想を綴ったエッセイなどが収録されています。

 わたしがちくま文庫の吉行淳之介のエッセイ集を編集したのは十年前。当時、没後十年。新刊書店から、吉行淳之介の本がどんどん消えていた。

 今年の七月二十六日で没後二十年になる。

『吉行淳之介娼婦小説集成』の単行本は一九八〇年に潮出版社から刊行。吉行淳之介の出世作ともいえる「原色の街」は、この本に収録された「原色の街」(第一稿)と「ある脱出」を合わせて書き直したものだ。今読むと「原色の街」(第一稿)がすごくおもしろい。オチもちがう。
 むしろ読後の印象は(第一稿)のほうが鮮烈かもしれない。
 ほかにも「驟雨」「娼婦の部屋」など、初期の代表作もこの本で読める。
 わたしはちょっととぼけたかんじの「髭」が好きですね。

 あらたに追加されたエッセイは「私の小説の舞台再訪」と「赤線という名の不死鳥」の二篇。

 吉行文学の入門書としてもこの集成はおすすめです。