2013/11/16

ぼくらのよあけ

 キンドルをつかいはじめて十ヶ月。当初、というか、五月くらいまではかなり慎重に買いすぎないようにブレーキをかけていた。電子書籍よりもクレジットカード(今年一月まで持ってなかった)でアマゾンの中古本が購入できるようになったことが嬉しくて郵便受けが悲鳴を上げるくらい買い漁っていた。

 それから五月以降、キンドルはほぼ漫画専用機と化した。その事情の一部は現在発売中の『本の雑誌』の連載にも書いた。

 二〇一三年は漫画の電子化がものすごく進んだという印象がある。

 電子版を読んでから、文庫版とかの漫画を読むと、なんとなく絵が薄いような気がして読みづらくおもえるくらい自分の目が電子のほうに慣れてしまった。それだけなく、キンドルのほうが絵が鮮明に見えるのだ。

 すこし前に話題になった——自分があまり漫画を追いかけなくなった二〇〇〇年代の作品を手当たり次第に読んだ。

 昨日は今井哲也の『ぼくらのよあけ』(講談社アフタヌーンKC、全二巻)を読んだ。二〇三八年の阿佐ケ谷住宅が舞台のSF漫画——。
 二〇一〇年に地球にやってきた宇宙船を団地の小学生たちが直して、もういちど宇宙に帰そうという話なのだが、子ども同士の人間関係やらなんやらがあり、さらに二十八年前の秘密も絡んで、なんやらかんやらが起こると……。
 たぶんストーリー上にはあらわれないような設定までいろいろ作り込まれているんだろうなと想像してしまう漫画だ。絵柄もちょっと懐かしいかんじで、描き込みっぷりもいい。

 宇宙と団地の組み合せが秀逸で、時間をかけて読みたくなる(文字数も多く、けっこう熟読させられる)。

 電子書籍でダウンロードして漫画を読むのはクジ引きみたいなところがあって、「失敗した」とおもうこともすごく多い。自分の好みかどうか、わからないまま勢いで買ってしまい、「おもっていたかんじとちがった」と悔やむ。

 逆に、作者や作品のことを何も知らなかったのに『ぼくらのよあけ』のような会心の漫画に出くわすこともある。

 まだ興奮さめやらぬってかんじだ。寝ないとまずいのだが……。