2012/12/05

寄り道

 仕事が一段落。といっても、年末進行中であることには変わりない。

《立派な書斎で机に向って、庭の眺めを眼にして終始書いているような作家の書くものに道筋がないのは当然だ。歩きながら立止まらずに眺め、考え、発見する人々の話には、少なくとも道筋がある》(「余白の告白」/辻まこと著『続・辻まことの世界』みすず書房、一九七八年刊)

 立派な書斎も庭もないが、コタツでずっと本を読んだり、文章を書いたりしていると、どうしても行き詰まってくる。三十代半ばをすぎたあたりから、仕事帰りに寄り道をしなくなった。酒も近所の飲み屋か家でしか飲まない。寄り道なんてものは、別にしなきゃいけないとおもってするものではないが、しなきゃいけないとおもわないとできなくなる。たまにはフィールドワークのようなことをしないといくら本を読んでも消化できないかんじが残る。もうすこし歩く時間を増やしたい。