2012/10/17

禅ゴルフ(四)

 前回の「イメージ」の話で「ここまでは、まだ序の口」と書いた。

 何でもいいのだが、一回戦突破、ベスト8、県大会、全国大会、プロ……と自分がそこに進んでいこうとする「イメージ」によって、日々の生活は変わってくる。

 目の前の試合だけを「イメージ」している人とプロになる、いや、プロで活躍することを「イメージ」している人は、最初は同じくらいのレベルでも一年、三年、五年と経つうちに、かなり大きな差がついてもおかしくない。
 プロのスポーツ選手を目指すのであれば、勝つための小手先の技術だけではなく、一年通して戦える体力、ケガをしにくい体づくり、さらにメンタルの強化にも取り組まなければならないし、引退後、コーチや指導者になるための勉強も必要である。

《意図したことのイメージを心にはっきり描けば、体は自然にそれを実現しようとする》

 どれだけ鮮やかな「イメージ」を持って行動するか。意志とか精神力とかいわれるようなものも、明確な「イメージ」がともなうことで、より強くなる。また自分では「イメージ」のつもりが、現実離れした妄想になっていることもある。
 その「イメージ」の精度がきめこまやかであればあるほど、そのためにやるべきことが明瞭になるし、それを遂行するための覚悟も生まれる……のではないかとおもう。

「趣味の範囲で楽しくやれたらいいや」という場合でも、それなりの「イメージ」があったほうが、より楽しく長く続けられるはずだ。

 二十代のころ、わたしは「好きな時間に寝て起きて、古本屋に行って、酒を飲んで、酔っぱらって、文章を書いて、なんとか暮らしていきたい」とおもっていたら、だいたいそんなかんじになってしまった。
「もうすこし高望みしておけばよかった」とちょっと悔やんでいる。

《五感を正しく認識することは、ショットを効果的にイメージするために必要である。人間の五感は、われわれがゴルフのショットや、それ以外のすべてのことを行う際に、心と体に適切な指令を与えるために必要な情報を収集する。だから、感覚認識の実態と、それがどのような形で体験されるかを自覚する練習は、大変ためになる》

 この視覚、聴覚、触覚(筋感覚)などの認識を深めるための方法も『禅ゴルフ』には記されている。

(……続く)