2011/03/18

人間信頼

 一昨日、一週間ぶりに神保町。小宮山も田村も閉まっていて、いつもより人がすくなかった。神田伯剌西爾でコーヒーを飲む。

 帰りは地下鉄の東西線で中野駅に行って、中野から高円寺まで歩いた。高円寺北口のひっぱりだこのたこ焼き(ソースが選べて、わたしはポン酢が好み)がむしょうに食いたくなる。この店のお兄さんが気のいい人で、「地震のとき、大丈夫だったですか。お客さんで今日岩手から来たって人がいましたよ。応援してあげたいよね」と話しかけてきた。

 ようやくスピーカーとケーブルをつなぎなおした。部屋に音楽が流れるだけで、ずいぶん気持がなごむ。
 本が好きな人は本を、音楽が好きな人は音楽を、映画が好きな人は映画を、酒が好きな人は酒を。
 腹の足しにならない喜びが、生きる活力になる。

 わたしも食って寝て読んで書いての生活に戻ろうとおもう。

《とにかく、大きな意味で、人生や人間を佳しと思はせるやうな(建設的な)小説がもつともつと欲しい。「お互ひによくも人間に生れて來たものだ、二度と生れないのだし、仲よくしようよ、そして力いつぱい生きようぢやないか」そんなことを理窟なしに感じさせてくれる小説が欲しい。文學は、人生に於いてそんな役目を果たし得る大きな仕事の一つだと思ふ》(「人間信頼」/尾崎一雄著『玩具箱』文化書院、一九四七年刊)

 大震災、戦争を乗りこえてきた作家の言葉だ。
 
 仲良く、力いっぱい生きる。
 わたしもそうする。