2011/01/11

人間風眼帖

 腹と背中に貼るカイロをつけ、外出用のコートを着込んで、仕事をする。

 ずっとFAXの調子が悪い。半分くらい印字がかすれる。今日受信したものも、ほとんど読めない。説明書を読んで、書いてあるとおりに掃除をしたのだが変化なし。
 あきらめて新宿の電気屋に行く。東口のヤマダ電機LABIにはじめて行く。出費がかさむ。

 山田風太郎は、飯がうまいのは料理がいいとはかぎらず、腹が減っているからということがあるといっていた。その逆もしかり。
 読書もそういうところがある。
 活字にたいする飢え、何かを知りたいという気持が薄れているときは、目で文字を追うばかりで頭にはいってこない。

 ここのところ、知識にたいする貪欲さが薄らいでいる。昔とくらべて生活がすこし落ち着いたせいだろう。

 お金がなくておもうように本が買えないときのほうが、切実に本が読める。仕事が忙しくて、時間がないときのほうが、おもしろく本が読める。

《金があるときはひまがない
 ひまがあるときは金がない
 金もひまもないことはあっても
 金もひまもあることは曾てない
 不公平である》(山田風太郎『人間風眼帖』神戸新聞総合出版センター、二〇一〇年刊)

『人間風眼帖』は、山田風太郎の箴言集といった本なのだが、最近まで刊行されていたことを知らなかった。

《戦後30年にわたる日記から著者自身が抜粋し、大学ノート丸2冊に書き遺していた、新発見の「太平洋戦争風眼帖」「人間風眼帖」を復元、収録》

 読み終わるのがもったいない。どこに何が書いてあるのか丸暗記できるくらい読み込みたい。おすすめです。