2010/11/05

京都から博多、また京都

 先週の土曜日から、京都のえいでんまつり、日曜日は博多のブックオカに行く。博多からは山口(下関、岩国)、広島(福山)、岡山(笠岡、倉敷)をローカル線でまわって、再び京都へ。
 知恩寺の古本まつりを見て、山田稔さんを囲む会に参加する。そのあと古書善行堂もうでをして、東京に帰る。三泊四日。
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 えいでんまつりの一箱古本市の会場は屋根もあって、おにぎり、弁当、焼きそば、電車焼(電車の形のどらやき)などを販売するブースもあった。
 さっそく電車の中で古本を並べる。向かいは林哲夫さん、隣は名前がわからず「ええ本売っている人」と呼ばれていたブック・アット・ミーという屋号の方。この方、本だけでなく、電車の模型など、鉄道グッズも売っていて、ずっと人だかりができていた。
 お客さんは、鉄道マニアが大半、家族連れが多かった。
 わたしは完全に選書失敗(文学系を揃えた)……かとおもいきや、山本善行さんが『京都画壇周辺』(用美社)を買ってくれたおかげで、なんと、売り上げ一位になってしまった。

 ブックオカは、着いたのが、午後二時すぎ。荷物をもったまま、けやき通りをかけ足でまわる。そのあと徘徊堂に行ったら、店内にかえるさんがかかっていてレジで「かえるさんですね」といったら、変な人を見るような目をされた。
 バンドワゴンで値段のついていない石黒敬七の本があって、「いくらですか」と聞いたら、「これは高いよ」というので、緊張したのだが「千五百円」といわれて、もう一冊の本はおまけしてもらう。
 夕方、いったんビジネスホテルに荷物を置いて、ちょっとのんびりしていたら集中豪雨。ほんとうにゴーっと音が鳴るような雨で、夜、中洲の屋台に行くのを断念し、結局、ホテル近くのラーメン屋(居酒屋みたいなところ。激安)で、店内の日本シリーズを見ながら、ラーメンをつまみにハイボールを三杯飲んだ。

 これといった予定のない旅行だったので、下関では一時間くらい駅周辺(駅の改札すぐ前の名店街にブックセンターという古本屋があって、通学前の高校生が文庫本を立ち読みしていた)をぶらいついて、電車に乗って岩国に向かい、岩国の古本屋に行くつもりが、駅を出たら錦帯橋行きのバスが止まっていたので、何も考えずに乗って、何も考えずに観光し、そのあと一度も降りたことがなかった福山と笠岡の駅周辺を歩いて、倉敷の蟲文庫へ。

 翌日、再び京都に戻り、山田稔さんを囲む会があると扉野さんに聞いて、飛び入りで参加させてもらう。
 編集者時代の古山高麗雄さんの話を教えてもらったり、逆に、佐藤泰志の『海炭市叙景』のことを質問されたり、富士正晴、久坂葉子の話を聞いたりして、あっという間に時間がすぎた。
 今は目の調子があまりよくなく、一日三十分くらいしか本を読んでいないとのことだったが、「名医を紹介してもらったけど、目が見えなくなるのが先か、寿命が先か、わからないから、手術するのやめちゃったんですよ」と冗談っぽくいっていて、話を聞いているだけで、齢をとるのもわるくないなあという気になる。
 新刊の『マビヨン通りの店』(編集工房ノア)を持っていけばよかった。

 東京に帰ると仕事が山積み。今週末の外市に出品する本の値付をする。今回はけっこう珍しい本があるかも。