2009/07/29

岡山から京都へ

 二十五日(土)、のぞみで岡山に行き、ルネスホール内公文庫カフェのフジイユタカ写真展「オキナワノハナ」を見る。
 公文庫カフェに行くと、藤井くんが待っていた。
 写真は十年以上前のもので、そのとき、その場所にいなければ二度と撮れない写真ばかりだ。本人は「狙っていないような写真を狙って撮っている」というかもしれないが、ぱっと見、なぜこれを撮ったのかよくわからないままシャッターを押しているかんじがする。でも時を経て、そのかんじがいい具合に熟成されていた。
 そんなに昔の写真ではないのに「古写真」の味わいがある。

 公文庫カフェでアイスコーヒーを飲んだあと、倉敷に行く。この日、天領まつりだったせいか、駅前は人がごったがえしている。
 人通りをさけ、トンネルを通って、蟲文庫。
 蟲文庫の田中さんと藤井くんと三人で初の写真展開催を祝う小宴会。

 藤井くんが高円寺のアパートを引きはらい、岡山に帰ったときは、もうすこしこっちで仕事をしていれば、プロのカメラマンとしてやっていけそうだったのに、と残念だった。でも今みたいに、ふらふら旅行をしながら、気ままに写真を撮っているほうが、藤井くんには合っているのかもしれない。

 年内に蟲文庫でも、個展をひらいてはどうかという話になった。

 二十六日(日)、午前中に倉敷を出て、鈍行列車で神戸に。海文堂書店に寄る。
 福岡店長に挨拶して、山本善行さんの古本コーナーを見る。昼休みから戻ってきた北村知之くんに「善行堂行きましたか?」と声をかけられる。

 元町から三ノ宮のガード下を通って、阪急で京都、出町柳でレンタサイクルを借りて、古書善行堂を目ざす(善行堂の話は、八月発売の『小説すばる』に書きました)。

 ちょっと心配になるくらい安い。ほしいとおもった本が、ことごとく、自分の予想よりも安い。
 正宗白鳥著『文學修業』(三笠書房、一九四二年刊)、花森安治著『風俗時評』(東洋経済新報社、一九五三年刊)などを買う。
『風俗時評』は、はじめて見たかもしれない。

 自転車を返して京阪三条へ。汗だくになったのでサウナ・オーロラで一風呂浴び、六曜社でアイスコーヒー。

 夜は、徳正寺でサニーサイドアップ(増田喜昭、鈴木潤)、オグラ、友部正人のライブ「近所のお寺で涼んでいたら」。

 雨の音や風をかんじながらのライブ。サニーサイドアップは、鈴木さんの澄んだ声とシンプルなウクレレが合っていて心地よかった。
 オグラさんは、久々に名曲「架空の冒険者」のソロバージョンを熱唱。
『ガロ』の編集長、長井勝一さんが眠るお寺で、友部さんの「長井さん」を聴く。
 オグラさんと友部さんは、前の日に大阪で詩の朗読のイベントでもいっしょだったそうだ。

 お堂でのライブだったせいか、言葉がすっと入ってくる。踊りたくなる曲もあったけど、なんとなく、静粛に聞いていた。背筋をのばし、肩でリズムをとる、そのかんじが新鮮でおもしろかった。

 朝四時まで、扉野さんの両親と飲み明かした。

(追記)
 帰り、午後二時すぎのぷらっとこだまに乗るため、京都駅に行くと、新幹線の構内が厳戒態勢。トイレも封鎖されている。ホームには警察官と日の丸をふる人々。
 向いのホームに到着した新幹線から皇○子が……。