2008/12/10

年末進行中

 先週金曜日、東京ローカル・ホンクのライブを見るために、ぷらっとこだまで京都に行ってきた。一泊二日。ホンクは丸太町の陰陽(ネガポジ)というライブハウスに出演した。このあいだ、渋谷のBYGで見たばかりなのに、わざわざ京都まで追っかけてしまったのは、ンクのメンバーが扉野良人さんの家に泊ると聞いて、だったらいっしょに飲みたいとおもったのだ。

 四十代にはいってから、東京ローカル・ホンクの木下弦二さんの詩が、ものすごく深くなっていて、そのあたり意識、気持の変化についていろいろ話を聞いてみたかった。新しい曲が二曲あって、一曲は今の心象風景、地元の戸越銀座の商店街のことなどを歌っているのだが、ただ、ちょっと暗いものになったから、この世界はもっといいものだということもいいたいとおもって、もうひとつの曲を作った。昔の曲は自分のことばっかり歌っているけど、それはそれで今歌うとわるくない。ライブのMCでそういうことをいっていた。ほんとうに新しいことに取り組んでいる。

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 東京に帰ってきて、ここ二、三日いろいろ物おもいにふけった。とくにお金と時間のつかい方について。いいかえれば、なんに力を注ぐか、集中するかについて。長年食っていくことを目標としていて、それはそれでたいへんなのだが、それとはちがう、高いのか遠いのかわからないような目標があったほうがいいのではないかと……。文章を書くことにかぎらず、長くいい仕事を続けている人は自分にいろいろなものを課している。そのいろいろが何なのか。そのことを深く考えるためには、言葉だけでなく、もっと経験がいる。

 仕事ばかりしていると、正直、息がつまる。本を読んでいても、活字が頭にはいってこなくなる。文章を書けば書くほど、どんどん備蓄が減ってしまうような気がする。同業者なら、多かれすくなかれ味わうことだとおもうが、なんらかの補給路を確保しておかないと、すぐカラカラになる。といっても、からだはひとつ、一日は二十四時間、一年は三百六十五日(たまに三百六十六日)しかない。齢をとると、吸収力が低下してくる。同じようなことを続けているとすぐ行き詰まる。すくなくとも本に関してはそれなりに目が肥えてしまっている分、自分が面白いとおもえるものになかなか出合えなくなっている。だから視野と行動範囲を広げる必要がある。しかし体はひとつ、時間と金にも限度がある。効率を上げるしかないのか。でも無駄を減らすと心がすさむ。このあたりの兼ね合いをどうしているのか。それとも何か根本から生き方を改めたほうがいいのか。