2008/11/22

読書肘

 昨日、三十九歳になった。その日、右ひじの痛みに悩まされていた。

 毎年この時期、正宗白鳥の『今年の秋』(中公文庫)を読む。そのあと立て続けに、布団にうつぶせのまま、正宗白鳥の本、深沢七郎の本を読んだ。あと新刊本も二冊読んだ。
 そのときひじをついて顔をあげる格好で読んでいた。当然、ひじに上半身の体重がかかる。起き上がるときに、ビリビリといういやなかんじがした。その後、右手に力をいれるだけで関節が痛い。曲げても伸ばして力をいれても痛い。
 不便だ。コップひとつ洗うのもままならない。字を書くのも苦労する。
 横になっているとき、いつもは何も考えずに手をついて、立ち上がっているのだが、左手一本で起きるのは、むずかしいことがわかった。

 おそらく同じ姿勢でずっと本を読んでいたせいだとおもうが、齢もあるだろう。しかし読書でひじを痛めることになるとはおもいもしなかった。
 メシは左手で食った。左手一本でコーヒーを入れ、コップと皿を洗う。やりにくかったが、なんとかできた。

 ところが、生れてこのかた、まったく左手でやったことのないことがある。
 便所で尻をふく行為である。
 できなくはないのだが、すごく違和感がある。
 小さな発見であった。

 インドメタシン配合の痛みどめの薬をぬって寝る。
 だいぶよくなったので、西部古書会館に行く。
 本を持つと、まだすこし痛む。なんぎや。