2018/05/20

質と量

 質より量か、量より質か。ビジネス書を読んでいると、量をこなさないと質は高まらない——という意見をよく見かける。

 齢をとると量をこなすのがしんどくなる。諦めも早くなる。五年十年かけて、じっくり何かひとつのことに取り組むのはむずかしい。遅々として上達しないと、すぐ面倒くさくなる。

 面倒くさくならず、飽きずに続けられるものが、ほんとうに好きなものだろう。
 そういう意味では、わたしは料理が好きなのかもしれない。毎日、何かしら作っている。外食しても弁当買っても誰も文句はいわないがつい作ってしまう。

 ふとおもったは自分が料理をするのは冷蔵庫(冷凍庫)の中身を減らしたいからではないか。肉や野菜を買う。小分けにして冷凍する。冷凍庫がぎゅうぎゅう詰めになる。食材を消費するために料理する。とくにストックがあるのにダブって野菜を買ってしまったとき、もっとも料理熱が高まる。

 量に動かされている。カボチャが減らない。

2018/05/19

あかちょうちん

 五月十五日、高円寺駅北口に日高屋がオープンした。以前の店舗はミスタードーナツだった(二月に閉店)。わたしが高円寺に引っ越してきた一九八九年にミスタードーナツはすでにあった。
 部屋にエアコンがなかったころは夏の夕方、よくミスドで原稿を書いていたが、ここ数年は行ってなかった。店内がにぎやかすぎる、というか、若者が多すぎて……。
 北口のドトールもいつの間にかなくなった。西部古書会館で古本を買ったあと、ちょくちょく行っていた。

 高円寺在住の人以外にはどうでもいい話かもしれないが、どんな店がいつまであったか、けっこう忘れてしまうんですね。
 喫茶店でいうと、ちびくろサンボとか琥珀とか、あった場所は覚えているのが、いつ閉店したのか記憶が曖昧になっている。

 新刊のパリッコ著『酒場っ子』(スタンド・ブックス)を読んでいたら、いきなり高円寺の「大将」や「あかちょうちん」の話が出てきて、つい読みふけってしまった。
 大将は高円寺の焼鳥屋で三店舗あるのだが、著者は北口の「3号店」のひいきのようだ(わたしもです)。
 北口の「あかちょうちん」の記述もすごく細かい。バンドマンのたまり場の店で「僕の中の『中央線文化』の象徴のような存在でした」と記している。

《ここのボトルは一升瓶。「いいちこ」「二階堂」「ちょっぺん」「(黒)桜島」「白波」「黒霧島」の6種類で、各2900円。じゅうぶんお手頃ですよね? (中略)ただし、これで驚いていられないのがあかちょうちんの恐るべきところ。なんと毎週、日、月、金曜日、これらの焼酎ボトルが、すべて半額! つまり、1450円。あきらかに原価割れてるでしょ……》

 さらに「ボトル会員」になると「3本目と5本目は半額、6本目は焼酎のみ無料です」。友人と飲みに行くと、誰かしらの半額か無料のボトルがあって激安で飲めた。
 知り合いのミュージシャンが結婚パーティーの二次会を「あかちょうちん」でやったこともあった。後にも先にもあんなに寛ぐことができた結婚式の二次会はない(当然、普段着)。
「あかちょうちん」の閉店は二〇一〇年九月——。その前年の南口の「石狩亭」の名前も『酒場っ子』を読んで思い出した。明け方、何度か飲みに行った。

2018/05/15

甲府

 日曜日、昼、三鷹から特急かいじで甲府へ。かいじ、はじめて乗ったかも。

 天気は雨。残念。今回の甲府行きは『フライの雑誌』の取材もかねている。取材といっても、ただ散歩するだけなのだが。
 甲府駅からすこし歩いたところにあるビジネスホテル(格安)に荷物を置き、バスで甲斐善光寺へ。帰りはJR身延線の善光寺駅から甲府駅。身延線(富士~甲府)は一九二八年に全線開通し、今年九〇周年ということを知る。
 JR中央線(中央本線)から甲府経由で東海道線の富士駅に出ることができる(青春18きっぷで一度、高円寺→甲府→富士→東京とまわる旅をしてみたい)。
雨の中、駅すぐの甲府城(舞鶴城)を散策(ほんとうに近い)。

 甲府は町の中に歴史が根づいていて、山があって緑が多くて温泉もたくさんある。好きな町のひとつだ。特急をつかえば、高円寺から一時間半。また行きたい。

 夕飯は駅ビルで吉田うどん。コンビニで酒とつまみ(焼き鳥)を買い、ホテルで「ザ!鉄腕!DASH!!」を観ながら原稿を書く。

 翌日は石和温泉駅界隈を散策した(『フライの雑誌』の次号に発表)。駅前にイオンができてた。帰ってきてから調べたら、ニチイ→サティ→イオンと変遷しているようだ。
 帰り、高尾駅で途中下車。ドトールで休憩して高円寺へ。

 今月から共同通信社のエッセイ「『ほどよさ』の研究」(全十回の予定)の配信がはじまりました。題字と挿絵は山川直人さんです。いつどの新聞に掲載されるのかはわかりません。